公立中高一貫校の出題傾向と読解力(1)

読解力はなぜ大切?
進学・受験と読解力の関係とは?

公立中高一貫校の出題傾向と読解力(1)

近頃増えてきた公立の中高一貫校。人気が高まり倍率は高く、かなり難易度が高いと言われることが多いのですが、実際のところ、どんな学校なのでしょうか。その成り立ちから、私立の中高一貫校との違いや準備の仕方など、もう少し詳しく考えておく必要がありそうですね。

公立の中高一貫校は「ゆとり教育」の一環として誕生

倍率が高く難易度が高いと言われる公立中高一貫校ですが、その誕生は1999年、「ゆとり教育」の考え方の中で生まれました。中学と高校を連結して高校受験をなくし、余裕をもって6年間学べるので、生徒の学力だけでなく、個性や創造性を伸ばすことができるとの理念があるのです。

たとえば大阪府立の「咲くやこの花中学校」では週2時間の選択授業で、ものづくり(理工)、スポーツ、言語、芸術 (美術・デザイン)の4分野に分かれて学ぶプログラムが用意されています。

私学と違って授業料はなく、制服代や修学旅行などの積立金がかかる程度と非常にリーズナブル。大学進学実績も伸びており、人気はさらに高まっていきそうです。

主に、中高6年間を一貫して教育する「中等教育学校」と、中学校と高校が同じ場所にある「併設型」があります。「中等教育学校」では高校時の募集を行わないので、メンバーが6年間固定されます。学校になじめない子がいると6年間大変なので、併設型も用意されているのです。

適性検査で問われることとは?

このページは「出題傾向」という見出しですが、実際にはいわゆる入試問題というのはありません。「入学者選抜には学力検査を行わわない」と法律で定められているのです。その代わりに面接や「適性検査」が行われます。いわゆる私立の中高一貫校とはかなり異なりますから、しっかり対策を行うことが大切です。

公立の中高一貫校が目指しているのは「思考力、表現力、判断力を持った次世代のリーダー」を育てることと言われています。そのため、適性検査でもいわゆる学科ごとの入学試験は行われません。もちろん適性検査と言っても筆記試験という形になるのですが、科目を超えて思考力や表現力を問う出題となります。

そのため、長い文章や図表による資料を読みこなすというタイプの問題が中心となるのです。かなりの作文力が必要です。一般的な入試のように算数の公式を覚えて問題を解く力というより、出題文や資料から情報を読み取り、論理的に整理して自分の考えを表現できる力。それはまさに読解力が問われていると言えそうです。

次のページで、さらに適性検査とその対策について考えていきましょう。

次は公立中高一貫校の出題傾向と読解力(2)